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少年事件における逆送とは?保護者がやるべきことは?
未成年者が犯罪を起こした場合、その手続きは通常の刑事事件とは異なり、家庭裁判所を中心に進められます。
しかし場合によっては「逆送」と呼ばれる仕組みにより、家庭裁判所から検察官へ事件が送致され、最終的に刑事裁判で裁かれることもあります。
保護者は、逆送が行われる背景や基準を理解し、早い段階で適切な対応を取るのが重要です。
今回は、少年事件における逆送の仕組みと、保護者が取るべき対応を解説いたします。
逆送とは
少年事件の手続きは、原則として家庭裁判所で審判が行われ、保護観察や少年院送致などの教育的な処分によって更生を図る仕組みです。
ところが、事件の内容や少年の性格・成育状況などを踏まえて「保護処分だけでは不十分である」と判断されると、事件が家庭裁判所から検察官に移されるケースがあります。
これを逆送(正式には検察官送致)と呼びます。
逆送の種類
逆送には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは、年齢による逆送です。
重要なのは「事件当時の年齢」ではなく「審判時の年齢」で判断されるという点です。
家庭裁判所で手続きを進める段階で、対象者が20歳を超えていたら、検察官に送り返されます。
もう1つは、刑事処分が相当と判断された場合の逆送です。
代表的なのは殺人や放火といった重罪で、特に16歳以上の少年が故意にひとを死亡させた場合は、原則として逆送されることになっています。
そのほかにも、非行歴や反省の有無などから、更生よりも刑罰が必要とされる場合にも逆送が選択されます。
保護者がやるべきこと
お子さんが事件を起こし、逆送の可能性がある場合、保護者が冷静に対応するのが重要です。
対応するべきこととしては、以下の2つがあります。
- 事実関係を把握する
- 弁護士に早期相談する
それぞれ確認していきましょう。
事実関係を把握する
まずは、子どもがどのような経緯で事件を起こしたのかを正確に確認するのが大切です。
思い込みや感情に流されず、冷静に事実を整理しましょう。
弁護士に早めに相談する
少年事件は短期間で手続きが進むため、弁護士にできるだけ早く相談するのが重要です。
弁護士は、少年審判や逆送の判断に影響を与える資料の収集、裁判での弁護活動を通じて子どもの権利を守ります。
基本的には、移送(事件が家庭裁判所に送り返され保護処分になること)を目指します。
まとめ
少年事件における逆送は、子どもの将来に大きな影響を与える手続きです。
逆送が決まれば刑事裁判に進み、場合によっては実刑判決を受けるリスクもあります。
そのため、保護者としては早めに弁護士に相談し、最善の対応を検討するのが重要です。