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中学生が犯罪をして逮捕されるケースとその後の流れ
少年法の対象となる未成年であっても、重大な犯罪を起こせば警察に逮捕されます。
保護者が逮捕後の流れを理解していないと、どのように動けばよいのか判断できず、不安が大きくなるかもしれません。
今回は、中学生がどのような場合に逮捕されるのか、そして逮捕後にどのような手続きが取られるのかを解説いたします。
中学生が逮捕されるケース
14歳未満の少年については、刑事責任が問えないため、逮捕・起訴といった刑事手続きには進みません。
児童相談所に送致され、必要に応じて児童自立支援施設や児童養護施設での措置が取られます。
一方で少年法では、原則として14歳以上の未成年であれば、逮捕される可能性があります。
たとえば以下のようなケースです。
- 窃盗や暴行などを繰り返している
- 傷害・強盗・放火など、重大な罪を犯した
- 大麻や覚醒剤などの薬物犯罪に関与した
- 反省の態度が乏しい、家庭や学校での監督が困難と判断される
事件の内容によっては刑事裁判に移行する可能性もあります。
中学生が逮捕された後の流れ
中学生が犯罪を起こして逮捕された場合、事件は以下のような手順で進みます。
①逮捕
中学生であっても、14歳以上であれば、犯罪の嫌疑が十分にある場合に逮捕される可能性があります。
逮捕後は警察署に留置され、取調べを受けます。一方、14歳未満の中学生は刑事責任を問えないため逮捕されません。
この場合、児童相談所長の判断で一時保護(事実上の身柄拘束)という措置が取られる可能性があります。
②送検
逮捕から48時間以内に事件は検察官へ送致(送検)されます。
検察官はさらに取調べを行い、家庭裁判所へ送るかどうかを判断します。
③勾留または観護措置
検察官が勾留を求めた場合、裁判所が認めれば最長20日間の勾留が可能です。
ただし少年の場合は、代わりに少年鑑別所に収容する「観護措置」が選ばれる場合もあります。
④家庭裁判所送致
少年事件は原則として家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所では、調査官が本人や保護者から事情を聴き、家庭環境や学校での様子を調査します。
事件が重大で、家庭裁判所の処分では不十分と判断された場合には「逆送(検察官送致)」されるのが基本的な流れです(14歳以上の場合に限られます)。
⑤審判
審判は、成人における裁判に相当する手続きです。
ただし目的は処罰ではなく、少年の更生を中心に考えた処遇を決める点に特徴があります。
⑥処分
審判の結果、次のような処分が下されます。
- 不処分
- 保護観察
- 少年院送致
処分の内容は、非行の程度や本人の反省状況、家庭の監督力などを総合的に考慮して決まります。
まとめ
14歳以上であれば、重大な犯罪や繰り返しの非行によって逮捕される可能性があります。
その後の流れは成人と似ていますが、家庭裁判所が中心となり、教育的な観点から処分が決められる点が特徴です。
保護者としては、まず冷静に事実を把握し、家庭での監督体制を整えるのが大切です。
そして何よりも早い段階で少年事件に詳しい弁護士へ相談することを検討してください。